はじめに
本記事は私の英語学習履歴を振り返り、もし私が英語初学者に戻ったら、どのように英語を身に着けていくかを考察します。
前編では、私がこれまでに試した英語学習書籍や学習法を振り返り、私の英語への取り組み傾向を見ていきます。後編ではそれら傾向に基づき、具体的な英語習得プロセスに触れていきます。
著者のピープル大学入学前後の英語力は、以下の通りです。

CASECは転職の時、Duolingoはピープル大学入学時のスコアです。
EF SETは無料なので、MBA基礎コース終了時に、力試しで受けました。
私の英語学習遍歴
私は40歳の英語学習初期から44歳で転職するまでの間、Amazonレビューなどを参考に、文法、音読、シャドーイング、フォニックス、長文読解、ビジネス英語ライティング、洋書、英語学習法、問題集など、気になる書籍は手あたり次第に購入してきました。
その間に購入した書籍の数は、多読の為に購入した読み物を除き、50冊以上です。
もちろん、全ての書籍をやりきれたはずもなく、むしろやれてない書籍の方が圧倒的に多いのですが、その中から、いくつかピックアップしてコメントしていきます。
マーカーは、ポジティブな要素には赤、ネガティブには青を使っていきます。
英語学習書
文法
ALL IN ONE Basic
ALL IN ONEシリーズは1冊で文法、単語、熟語、構文、リスニングが学べる参考書です。
大変な労力をかけて作られた良書だと思いますが、やりきるには、真面目にコツコツと取り組む忍耐が求められます。
尚、私がやり切ったのは、厳密に言うと旧版のALL IN ONE Re-Startの方ですが、「中学英語レベルであればなんとかなりそう」と感じていた私には、丁度良いレベル感でした。
実は、私が英語学習を思い立った時、一番最初に購入したのはALL IN ONEでしたが、こちらは当時の私(恐らくTOEIC 300点位?)には難易度が高く、半分もいかずにギブアップし、ALL N ONE Re-Startからやり直しました。
ALL IN ONE BasicにせよALL IN ONEにせよ、やりきるには数か月単位でじっくり取り組む必要はありますが、網羅的に英語を学びたい人には、とても良い参考書だと思います。
超英文解釈マニュアル
この本は、私が今まで購入した英語学習書籍の中では、最もお勧めしたい書籍です。
わずか200ページ弱の本ではありますが、英文を読む大切なポイントが凝縮されています。尚、この本に書いてある事を理解するためには、最低限、事前に品詞の種類や5文型、時制については理解しておく必要がありますが、逆にそれらが身についている人であれば、1日もあれば読み終える事がでます。
文法の解説書では説明を簡単にするために、例えばSVOの構造がわかりやすい、シンプルな例文を使って文法の解説がされていたりします。しかしながら、実際の英文は、主語であるSの前にはイントロがあったり、そしてSの後にはSを補足する説明があって文が長くなったりするので、特に長文になると、文中の何がSVOに該当するかを把握するのは、私はとても苦手でした。
ところが、この本にはそれら英文の構造を把握する方法が具体的、かつ端的に説明されているので、目からうろこが落ちる思いでした。
読めない英文は聞こえるわけがないのですが、逆に長文が読めるようになると、リスニング能力も確実に上がります。
英単語
DUO 3.0
重要単語1600語と熟語1000語が、560本の例文に凝縮された良書ではないかと思います。
私はCDもセットで調達し、通勤時間などのスキマ時間に繰り返し聞いてました。
尚、本書には例文の文法的な説明は全くないので、当時初学者だった私は、わからない表現は無視し、単語や熟語のみを覚えるものとして割り切って使ってましたが、それでも、ある程度基礎的な単語を覚える役には立ったと思ってます。
正直に言うと、私が買った単語系の参考書はこれだけなので、他と比べて良いと言っているわけではありません。
スピーキング
瞬間英作文トレーニング
英語を話すための練習方法として、即効性があると思います。
もし、すぐに英語を話す必要がある人に、何か一冊だけ学習書籍を推薦するとなれば、この本をお勧めします。
恐らく、瞬間英作文トレーニングを数週間やれば、全くしゃべれない人でも少ししゃべれるようになるのではないでしょうか。
尚、しっかり相手とコミュニケーションを取るためには、スピーキングよりもリスニング能力の方が大切だとは思います。
発音
発音関連の本も何冊か購入してますが、実はどれも続いておらず、諦めてます。
かつて、「発音できない音は聞き取れない」という宣伝文句につられ、rとl、sとthとshなどなど、日本人が苦手な発音の練習をやった事があります。
スカイプ英会話講師に発音を確認してもらったところ、どうやら私は、 ”She sells sea shells by the seashore I’m sure.” のような、「シー」が連続するような文章でも、sとshを正しく発音できるそうですし、rとlなどの発音もOKだそうです。
しかしながら、発音には全く自信が無く、日本人丸出しのカタコト英語で話している自覚があります。そして、微妙な音の聞き分け能力にもまるで自信が無く、単語の種類は文脈で判断してます。
そのため、英語を話すときは、sとshを間違えたら大変な事になりそうな言い回しは極力使わず、例えば ”Do you mind if I seat (sit) here?” というように、表現を工夫してます。
おそらく、私には発音のセンスがないのでしょう。
その他の英語学習
以下、書籍以外の英語学習も、いくつかピックアップしてコメントしていきます。
スカイプ英会話
スカイプ英会話は、以前勤務していた会社では無料で受講させてもらえたので、25分/回のレッスンを週末の2日だけ、1年少々続けました。これを自分でお金出して受けますかと言われたら、私はそれは無いかなと思ってます。
25分のレッスン時間は、初対面の先生だと自己紹介+αだけで終わってしまうので、極力同じ先生を選んで予約してましたが、ニューストピックを選んで会話しても、表面的な当たり障りの無い会話で終わりますし、そもそも国籍も年齢も職業も違うような方と、それ程共通の話題があるわけもないので、授業も次第にマンネリ化していきます..。
もっとも、私は自分がレッスンを受けたいタイミングで空いている、予約の取りやすい(= それ程人気がない)先生を選ぶ事が多かったので、もし人気のある先生や、単価も評価も高い先生からちゃんとしたレッスンを受けていたら、違う感想を持っていた可能性はあると思います。
多読
多読はグレーデッドリーダーズと言われる、英語学習者向けに使用する単語数を制限した読み物と、ミステリーを中心に、ネイティブ向けの洋書にも何冊かはチャレンジしました。
グレーデッドリーダーズは、例えばOxford Bookworms LibraryやPearson English Readersが、レベルごとに小説などを出版してます。
これらは適切なレベルの書籍を選ぶことで、スラスラ読めるものも多いので、初学者のうちに英語を読むリズムをつけるには大変良いのですが、単語もページ数も少ないという事は、中身も薄いものが多いので、次第に飽きてきます。
また、グレーデッドリーダーとネイティブ向け洋書の難易度には、大変大きなギャップがあるとも感じました。
グレーデッドリーダーはスラスラ読めても、ネイティブ向けの洋書でちゃんと最後まで読めたのは、シドニーシェルダン位でしょうか。あと、私の好きな東野圭吾さんの小説の英語版とかですかね。
実際、Journey Under the Midnight Sun(白夜行)とThe Devotion Of Suspect X(容疑者Xの献身)の2冊は、比較的英文も読みやすく感じたので、最後まで読むことが出来ましたが、正直に言うと、日本語の方が面白く感じますし、そもそもストーリーを知っている読みやすい英文を読んで何の意味があるかと思うと、時間の無駄のようにも感じてしまいました。
海外ドラマの視聴
ブレイキング・バッド
アメリカドラマは好きでいくつか見てますが、特にブレイキング・バッドは大変ハマり、DVDをシーズン5まで全て購入し、英語字幕を見ながら全てのセリフを書きとったうえで精読し、わからない箇所は意味を調べました。
ちなみに、Googleで調べてもわからない表現は、HiNativeへアカウントを作って質問を投稿すると、親切なネイティブの方が回答してくれます。

ブレイキング・バッドは、末期がんの余命宣告を受けた冴えない高校の化学教師が、残される家族の為にお金を作ろうと、覚せい剤の製造に手を染めてしまうお話です。
主役の教師は、かつては将来を嘱望された化学者で、大変倫理的で機転も利く人物なのですが、彼が製造する大変高品質なスーパードラッグのために、事態は次第に泥沼化していきます。
ブレイキング・バッドの1話(約45分)あたりに含まれる単語数は、おおよそ3,500語前後です。これを話者ごとに改行して書きとっていくと、A4で8ページ前後の枚数になりますが、余白をつめると、実質A4 4-5ページ程度の文量かと思います。
これら、全62話(214,476語)全てのセリフを書きとって調べるのにかかった期間は約半年なので、英語学習という観点では効率は悪いと思いますし、覚えなくてよい、もしくは覚えても使わないほうが良いような表現が、山ほど出てきます。(表現の問題は、選ぶドラマにもよると思います。)
とはいえ、字幕だけではわからないニュアンスも理解でき、深くドラマを味わえるので、全く勉強している気にもならず、全て見終わった(調べ終わった)時には充実感がありました。
私の英語への取り組みの傾向
さて、ここまで私のダラダラとした英語学習遍歴を書いてきましたが、これらから見えてくる私の英語への取り組み傾向は、以下の通りかと思います。
- 英語学習そのものは楽しくない。(続きにくい)
- 英語で何かを楽しんだり、新しい事を学ぶのは好き。
- 学習用英語と実際の英語の難易度は、各段に違うと感じる。
こうでない方も多いとは思いますが、後編ではこれら傾向を踏まえ、では、どうすればもっと効率的に英語を習得できたと思っているかを、ご紹介していきたいと思います。